【お金の歴史1】なぜ物々交換からお金が生まれたのか?

こんにちは。本宮 貴大です。

「なぜお金は生まれたのか。」

これを知ることで、本来のお金の役割や便利さ、そして本質がわかると思います。

太古の昔、人間は狩猟採取の生活をしていました。田畑を耕して野菜を獲り、森や草原では狩りをし、川や海では魚を獲り、山や森では木の身や山菜を獲って食べるという自給自足の生活をしていました。

しかし、これらを家族単位だけで行うのは、大変です。出来たら一つの分野に集中したいところです。一方で、バランスのよい食生活をするために肉も、魚も、野菜も食べたいところです。

そこで、それぞれの家族が一つの分野に集中し、獲得した食糧を、別の食糧と交換するようになりました。お互いが相応の価値だと思う分を交換したのです。これが物々交換のはじまりでした。

しかし、物々交換にも問題点がありました。当時は、食糧がいつでも確保できるとは限りませんでした。農作物は雨が続いたり、日照りが続いたりすれば、育ちません。魚が一匹も釣れないときもあるでしょう。そうなると、価値の交換が出来なくなり、たちまち飢えの危機に瀕します。

そこで、食糧を貯蔵したいところですが、野菜や魚のような生鮮食品は、時間が経つと腐ってしまいます。人々は食糧を塩づけにしたり、稲作(米)のような比較的保存性のある作物も導入されたりしましたが、根本的な解決にはなりませんでした。価値を長期間保存できるものが必要とされました。

そこで誕生したのがお金でした。当初は貝殻や石でしたが、これなら腐る心配はありません。人々は食糧が余分に獲れたとき、その分をお金に換えて保存しておき、不作のときにそれらを交換したのです。

また、物々交換のときには、大根1個と交換できるのは、魚1匹なのか、それとも2匹なのか、価値の交換基準が曖昧でした。それが、お金が出来たことによってそれまで不明瞭だった価値尺度が明確になりました。

さらに、お金は持ち運びにも便利でした。それまで、物々交換のために大根を10個運ぶのは大変でした。台車や荷車をつかってもやはり限界があります。それに大根10個分の価値のものとしか交換出来ませんでした。しかし、お金なら、100個でも1000個でも持ち運べるため、より高価なものや、よりたくさんの価値と交換することが出来ました。

こうして人々は豊かな暮らしを手に入れました。

 

お金が生まれた経緯については以上ですが、以下、現代のお金(通貨)の役割について少しだけ解説したいと思います。

  • 商品交換の仲立ち・・・貨幣は交換手段として使われる。何かもの(労働力も含む)を売って、手に入れた貨幣で、新たに商品を買ったなら、それは貨幣が商品交換の仲立ちをしたことになる。
  • 価値尺度・・・商品の値打ちは、貨幣の単位によって示される。消費者は、その単位によって価値の高低を判断している。すなわち貨幣は、商品の価値尺度の基準になっているのだ。
  • 価値の保存・・・貨幣は、価値の貯蔵手段である。必要なときには貨幣を使って、いつでもどこでも価値の交換が出来る。

 今回は、お金が誕生した経緯について、解説しました。お金とは、物々交換の不便を解消するために生まれた道具でした。しかし、そんな道具でしかないお金が現代では、我々の生活を支配するようになりました。つまり、お金の多い少ないによって私達の生活水準は変わってしまうのです。人々はお金を得ることが目的になってしまい、そのためなら、どんな卑劣なことでもやってしまうような人達も出てきてしまいました。

手段と目的を間違えてはいけません。そんなときにこそ、お金の原点を見直す必要があるのです。