【古代エジプト】ピラミッドはなぜ造られたのか?

こんにちは。本宮 貴大です。

今回は、エジプト文明にについて見ていきながら、ピラミッドは何のために造られたのかを解説していきたいと思います。

 

ピラミッドといえば、古代エジプト文明の象徴ともいえる建造物ですが、何のために造られたのでしょうか。

ファラオ(王家)の墓、日時計、水の供給ポンプ、宗教的モニュメントなど様々な説がありますが、どれも説得力のあるものばかりです。

たとえば、水の供給ポンプ説ですが、エジプトのような乾燥地帯では、水は貴重品であり、その供給施設として機能していた可能性は十分あります。同じく乾燥地帯であるクウェートクウェートタワーも給水塔として機能しています。

しかし、古代エジプトにはピラミッド以外にも、多くのモニュメントが建造されていることから、実用性に乏しく、非常に宗教色の強いモニュメントであったと考えられます。

 

 古代のエジプト人は、ピラミッドを仰ぎ見ることで、人間を超越した神をイメージし、精神を高めていたのではないでしょうか。

実は、これと似た事例が世界にはいくつかあります。たとえば、アゼルバイジャンの首都バグーには、フレイム・タワー(火の塔)という近未来的なビルがあります。曲線を描くようなそのビルは、夜になるとライトアップされ、まるで炎が揺れているかのように光ります。アゼルバイジャンはもともとゾロアスター教の国で、火はゾロアスター教の象徴であり、人々は火に向かって礼拝をする習慣をもっていました。

 これとほぼ同じ理由でエジプトのピラミッドも、造られたのではないでしょうか。エジプトでは、ナイル川の恵みを太陽の運行から予測することが出来ました。そこから、人々は恵みをもたらす太陽神ラーの存在を感じていました。

 そんな太陽神ラーの現人神であるファラオ(王)が亡くなった後、太陽の国に行けることを願って、あのような階段状に造られたのではないでしょうか。特に有名なピラミッドは、クフ王カフラー王メンカウラー王のもので、いずれも第四王朝期の王です。第五王朝期になると、ピラミッドに代わって、オベリスクという高い塔のような建造物が現れます。これは太陽神ラーに対する信仰が高まったためと言われています。

 

 古代から人間は、天空世界への憧れがありました。世界には天に向かってそびえたつ高い塔がたくさんあります。パリのエッフェル塔、スペインのサクラダ・ファミリアなどは、観光スポットとして人気です。また近年では、ドバイのブルジュ・ハリファアメリカのワールドトレードセンターなどの桁違いに高いビルも造られており、それらは国の権威や文明のモニュメントとしても機能しているといえるでしょう。

 天空世界に神がいると信じられているのは、どの地域にもみられます。そんな人間の精神性、信仰心が文明のモニュメントをつくる原動力になっているのではないでしょうか。 

 また、エジプトには山がありません。日本には富士山をはじめ山がたくさんあります。日本の神道では、山を御神体(神が宿るもの)として畏れ敬ってきました。エジプトは、自然の山がたくさんある日本とは対照的です。

 したがって、エジプトでは人工の山をつくる必要があり、ピラミッドはその信仰が宿る山なのです。

 

 いかがでしょう。そう考えると、古代エジプト人がピラミッドを信仰のよりどころとしていたのは、ほぼ間違いないと思います。独特な形をした宗教的建造物は、世界にたくさんあります。それらは必ず山のない地域に造られています。インドネシアのボロブドゥール遺跡やカンボジアアンコールワットなどがその例です。

 人間には、高い山や高い塔をつくりたいという欲求があり、それが宗教的な感性とうまくマッチしたことがピラミッド建造の強い動機となったといえるでしょう。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

本宮でした。