【孔子】「仁」は人間関係の基本!

こんにちは。本宮 貴大です。 

「対人関係で悩みがある。」

そんなあなたには、今回の記事は参考になると思います。

 

今回は、孔子を解説していきますが、孔子の教えの中心は「仁」です。「仁」という文字は、人が二人いることを表していますが、人と人が良好な関係を築くための教えが説かれています。つまり、「仁」について学ぶことで、対人関係の基本を知ることが出来るのです。 

古代中国は、血縁関係を重視した社会となっており、祖先を崇拝する祭祀や儀礼が行われ、そこから礼儀作法という親や年長者(兄)への敬愛を態度で現す社会習慣が一般化しました。

孔子が生まれたのは、紀元前550年頃とされていますが、正確な年は分かっていません。孔子は、「儒」という階級の家に生まれました。「儒」は、祭祀や儀礼を執り行う職業集団で、そんな家に生まれた孔子は、幼少期から様々な儀礼を学び、古代の歌がまとめられた『詩』、周王の歴史書である『書』といった古典を学びました。孔子は、周王朝創始者である周公を深く尊敬していました。

 

孔子の生きた時代は、春秋時代末期で、それまで血縁重視の社会から実力重視の社会への移行期でした。

周王室の権威は地に落ち、各地の諸侯が互いに覇権を争って群雄割拠する時代でした。各地では、子供が父親を倒したり、弟が兄を倒したり、部下が上司を倒したりするなど、身分の下の者が、上の者に実力で打ち克つような戦いが繰り広げられました。それは、まさに「仁」のない戦いです。日本でも下剋上の風潮が戦国時代に強まりましたが、孔子が生きた時代は、そんな戦乱の世だったのです。

そんな「仁」のない時代に、人々の親に対する敬愛の気持ちも、形骸化していました。古来より、成人した子供が親を食べさせるのは、当然でした。しかし、春秋時代の末期にもなると、子供は形式的には親を養っていても、親に対する尊敬の念は相当薄れていました。もちろん親を食べさせるのは大変ですが、わかった、わかった、食べさせておけばよいのでしょう、という居直った態度が目につきました。

孔子は、このような手段が目的化している状況を批判し、人々に親に対する敬愛の精神を取り戻すことを目的に、教えを説きました。

そんな孔子の教えの中心は、「仁」でした。

「仁」とは、「まごころ」とか「思いやり」などと訳されますが、少しわかりにくいので、孔子の言行録である『論語』のなかから「仁」について探ってみましょう。

子曰く、「巧言令色、少なし仁」

私達はつい、地位や権力、富のある人には、きめ細やかな礼儀作法で接します。孔子は、そんな巧みな話術(巧言)や着飾った容姿(令色)などは、相手に取り入ろうとする下心が透けて見えるため、そこに「仁」はあまり感じられないとしました。

子曰く、「剛毅朴訥、仁に近し」

それよりも、口下手で素朴だけれど、親しみやすいところにこそ、「仁」が宿っているとしました。孔子は、そうした他者への親愛を、「まごころ」と「思いやり」に分け、それぞれを「忠」・「恕」としました。

 

では、私達にとって、最も親しい人間関係は何でしょうか。それは家族関係です。孔子は、「仁」の根底にあるのは、「孝」と「悌」であるとしました。現代でも親孝行という言葉がありますが、「孝」とは、親に対する親愛の情です。また、「悌」とは、年長者(兄)に対する尊敬の念です。つまり、親や年長者に対して親愛や尊敬の念を示すことが「仁」の根底にあるのです。

「孝」や「悌」の対象が、君主や上司に代わったものが「忠」、すなわち、「まごころ」になります。「まごころ」とは、心の真ん中を表しますが、うわべだけの偽りではなく、心の底から主人に仕える誠実さを意味します。

また、孔子は、その他の他者に対しては、「恕」、すなわり「思いやり」の精神で接するべきとしました。「思いやり」とは、人間が一生をかけて実践していく「仁」の一つで、自分にしてほしくないことは、他者にもしてはいけない(己の欲せざるところを人に施すことなかれ)ということを意味します。

これらを踏まえて孔子は、人間の理想的な立身出世の物語を創り上げました。まず「孝」の精神で親に仕え、次に「忠」の精神で君主や上司に仕える。そして「恕」の精神で他者と接することで、立身出世が完成する。孔子は、これが最高の親孝行であるとしました。

 

今回は、孔子の教えについて解説しましたが、対人関係の基本は家族関係を良好にすることにありました。つまり、家族に対する「孝」や「悌」を育むことが、良好な人間関係を築く最初の一歩となるのだと思います。イエス=キリストも「隣人愛」を説いていますが、私達は、他人にはきめ細やかな礼儀を示しても、身近な家族への礼儀は蔑ろにしがちです。「親しき仲にも礼儀あり」とは、それを戒めた言葉なす。

家族関係を蔑ろにしていませんか。

良好な家族関係で築くために育んだ「孝」や「悌」の精神を、上司や他者などの家族以外の人達にも実践することで、対人関係での悩みが解決されるのだと思います。